呼吸器(肺)の後遺障害

呼吸機能の後遺障害等級の判定は3つあります。

1.動脈血酸素分圧と動脈血炭素ガス分圧の検査結果による判定
2.スパイロメトリーの結果と呼吸困難の程度による判定
3.運動負荷試験の結果による判定

原則は1ですが、その判定された等級が2や3より低い場合は2や3によって判定された等級で認定します。また、1によって第3級以上の等級に当てはまる場合は2や3による判定を行う必要はありません。

1.動脈血酸素分圧と動脈血炭素ガス分圧の検査結果による判定

①動脈血酸素分圧が50Torr以上の時
a 呼吸機能の低下によって常に介護が必要な人は第1級の4に該当します。
b 呼吸機能の低下によってその時々に介護が必要な人は第2級の2の3に該当します。
c aとbに該当しない時は第3級の4に該当します。

②動脈血酸素分圧が50Torr以上60Torr以下の時
a 動脈血酸炭素ガス分圧が限界値の範囲(37Torr以上43Torr以下。以下同様)でなく、呼吸機能の 低下によって常に介護が必要な人は第1級の4に該当します。
b 動脈血炭素ガス分圧が限界値の範囲でなく、呼吸機能の低下によってその時々に介護が必要な 人は第2級の2の3に該当します。
c 動脈血炭素ガス分圧が限界値の範囲でなくaやbに該当しない時は第3級の4に該当します。
d a、b、cに該当しない時は第5級の1の3に該当します。

③動脈血酸素分圧が60Torr以上70Torr以下の時
a 動脈血炭素ガス分圧が限界値の範囲でない人は第7級の5に該当します。
b aに該当しない人は第9級の7の3に該当します。

④動脈血酸素分圧が70Torr以上の時
動脈血炭素ガス分圧が限界値の範囲でない人は第11級の9に該当します。

2.スパイトロメトリーの結果と呼吸困難の程度による判定

①%1秒量が35以下か%肺活量が40以下の時
a 高度の呼吸困難で、呼吸機能の低下によって常に介護が必要人は第1級の4に該当します。
高度な呼吸困難とは、呼吸困難のせいでだいたい100m以上歩けないことをいいます。
b 高度の呼吸困難で、呼吸機能の低下によってその時々で介護が必要な人は第2級の2の3に該当します。
c 高度の呼吸困難でa、bに該当しない人は第3級の4に該当します。
d 中等度の呼吸困難が認められる人は第7級の5に該当します。
中等度の呼吸困難とは、呼吸困難のせいで平地でさえ健康な人と同じように歩けないが、自分のペースで1km位の歩行が出来ることをいいます。
e 軽度の呼吸困難が認められる人は第11級の9に該当します。
軽度の呼吸困難とは、呼吸困難のせいで健康な人と同じようには階段を上り下り出来ないことをいいます。

②%1秒量が35以上55以下か%肺活量が40以上60以下の時
a 高度もしくは中等度の呼吸困難が認められる人は第7級の5に該当します。
b 軽度の呼吸困難が認められる人は第11級の9に該当します。

③%1秒量が55以上70以下か%肺活量が60以上80以下の時
高度、中等度もしくは軽度の呼吸困難が認められる人は第11級の9に該当します。

3.運動負荷試験の結果による判定

1や2の判定では障害等級に該当しないが、呼吸機能の低下によって呼吸困難が認められ、 運動負荷試験の結果から明らかに呼吸機能に障害がある時は第11級の9に該当します。