任意一括対応をしていると被害者請求ができない!?

後遺障害のQ&A 【申請前】編

「後遺障害の被害者請求を行う」と、加害者代理の任意保険会社に伝えると、「弊社で一括対応をさせていただいておりますので被害者請求はできません」といわれる場合があります。

任意一括対応とは?

任意一括とは、自動車保険や共済などの任意保険会社が自賠責を含めて一括して代行するという意味です。本来、任意保険会社は自賠責保険(共済)に該当する部分は賠償する必要は無く、「被害者請求で足らない部分を請求してください」として、自賠責からはみ出た部分だけを賠償する姿勢でも良いところ、「サービスで自賠責部分も代行支払させていただきます」というのが任意一括という意味になります。

そして、交通事故発生直後に「一括対応に関する同意書」を提出していれば、必ず任意会社は自賠責を抑えています。抑えるというのは、加害者請求を予約するという事です。これが任意一括の真意と言えます。

被害者請求と任意一括

冒頭の「弊社で一括対応をさせていただいておりますので被害者請求はできません」という部分ですが、これは任意保険会社の勘違いで一括対応がなされていても、後遺障害の被害者請求は可能です。任意保険会社の勘違いもありますが、昔は被害者請求をさせたくないというの理由も多くありました。

被害者請求は今では珍しい事ではなくなっていますが、任意保険会社は、未だに被害者請求をさせないように、色々遠まわしに言ってくる場合があります。しかし、それは聞き流しつつ自賠責に直接請求(被害者請求)を行うことができます。

被害者請求で一括解除や一括不能としてしまえば、任意会社は自賠責に関与する事が出来なくなります。任意一括とは、自賠責に加害者請求の予約を入れることで自賠責と任意保険との間に強固なつながりができ、被害者請求が行われた場合は自賠責から任意会社に「加害者請求してください」と連絡が入ることになります。

任意一括の解除後は、自賠責への被害者請求の内容を知ることすらできなくなります。

任意一括と後遺障害

加害者請求と被害者請求が競合をした場合は、加害者請求が優先されるという決まりがあります。これはあくまでも「請求が競合した場合」です。

しかし、後遺障害の申請は、後遺障害診断書が必要なので、この後遺障害診断書さえ一括社(任意保険)に渡さなければ、任意保険は後遺障害の申請ができません。つまり、請求の競合は発生しない事になります。

任意一括、加害者請求が優先という状況でも、後遺障害診断書さえ任意会社に渡さなければ、後遺障害部分については競合になる事は無く、必ず被害者請求が成立する事になります。

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  1. たらちゃん より:

    医療事務をして間もないものです。保険会社から自損事故ですが、通勤途中だったため、保険証は使わずに自分の人身傷害保険を使って自由診療一括と言われました。どうも労災にはできないかもしれないです。この一括の意味は任意保険会社の任意一括と同じ意味ですか?書類も任意一括と同じ書類で請求する形であってますか?

    • 戦略法務 より:

      ご質問ありがとうございます。その場合の「一括」とは診療報酬は常識内で(自賠責基準が好ましいですが)治療費は全て任意保険会社に請求をして下さい。という意味になりますので、自賠責の絡む一括と同じ書類・手続きとなります。