主婦の後遺障害の逸失利益を計算するときには、家事従事者として基礎収入を以下のようにします。
賃金センサス第1巻第1表の産業計、企業規模計、学歴計、女子労働者の全年齢平均賃金額を基礎
金額でいえば平成19年で3.468.8000円となります。
しかし、任意保険会社の提示するのは自賠責保険に従って日額5700円とする場合が多いです。
なお、主婦であっても現実収入が平均賃金以上であれば現実収入を基礎とします。また、パートなどで平均賃金以下の収入を得ていた場合であっても、家事従事者であれば平均賃金で逸失利益は算出します。
ちなみに、家事従事者とは女性である必要はありません。主夫でも問題はありません。ただし、平均賃金は女子労働者から算出することになります。
最近では一部の損保会社が「家事従事者には逸失利益は発生しないものと決めている」などと、示談交渉の枠を超えた主張をしてくることがあります。しかし、最高裁判所判例(昭和49年7月19日)では「家事労働に属する多くの労働は、労働社会において金銭的に評価されうるものであり、これを他人に依頼すれば当然相当の対価を支払わなければならないのであるから、妻は、自ら家事労働に従事することにより、財産上の利益を挙げているのである。」として、主婦に逸失利益を認めており、損保の主張は根拠のないものとして、対応をしていく手間が必要になっています。