第2条
この法律で「自動車」とは、道路運送車両法 (昭和二十六年法律第百八十五号)第二条第二項 に規定する自動車(農耕作業の用に供することを目的として製作した小型特殊自動車を除く。)及び同条第三項 に規定する原動機付自転車をいう。
2 この法律で「運行」とは、人又は物を運送するとしないとにかかわらず、自動車を当該装置の用い方に従い用いることをいう。
3 この法律で「保有者」とは、自動車の所有者その他自動車を使用する権利を有する者で、自己のために自動車を運行の用に供するものをいう。
4 この法律で「運転者」とは、他人のために自動車の運転又は運転の補助に従事する者をいう。
自賠責法2条は、自賠責法で使用する用語について説明してあります。しかし、完全ではないため、その用語の定義について裁判で争われる場合があります。自賠責法の中では、TOP3に入るくらい重要ですが、突き詰めていくと非常に奥が深いです。
自動車とは、道路運送車両法第2条第2項で定められた「原動機により陸上を移動させることを目的として製作した用具で軌条若しくは架線を用いないもの又はこれにより牽引して陸上を移動させることを目的として製作した用具」から耕運機などの農耕作業車を除いて、原動機付自転車(原付)を加えた自動車をいいます。
農耕作業車が除かれたのは、交通事故の可能性が極めて低いからです。原付が加えられたのは昭和41年ですが、現状では当然といえます。
運行とは、単に自動車の運転中だけではなく、クレーン車のクレーンを操作中も含まれます。つまり、自賠責法でいう運行は単純な交通事故に留まらず、非常に広い範囲を定めていて、何とか被害者を保護しようとしています。しかし、これは非常に難しい判断となっていて、いくつかの重要判例(裁判例)が出ています。
保有者とは、第一にその自動車の所有者があげられます。そして、正当な権利があって自動車を運転する者をいいます。よって、自動車泥棒は正当な権利がないので保有者には含まれません。これに加え、自分が管理する自動車を使用する事によって利益を受ける者をいいます。よって、盗難にあった場合の所有者は、その管理から外れるために含まれません。
運転者とは、保有者の規定では足りない者を定めて自賠責法の適用範囲を広めています。例えば、会社の車を運転する従業員です。従業員には管理も利益も無いからです。
ちなみに、「運転の補助」とは、車掌などの運行の一端を担う者をいいます。