肩鎖関節脱臼(鳥口鎖骨靭帯断裂 肩鎖靭帯断裂)

肩鎖関節脱臼

肩鎖関節脱臼は、バイクの交通事故で比較的多い傷病です。肩に異常な外圧が加わると肩鎖靭帯が断裂し、さらに強い外圧では鳥口鎖骨靭帯(うこうさこつじんたい)をも断裂し肩鎖関節脱臼として診断されます。

肩鎖関節脱臼では、Tossyの分類というもので3つに分けて診断します。

Tossyの分類

軽度Ⅰ 靭帯が少し伸びた程度 レントゲンで異常はない
中度Ⅱ 肩鎖靭帯断裂があり痛みがある
重度Ⅲ 鳥口鎖骨靭帯断裂と肩鎖靭帯断裂があり激しく痛む

軽度Ⅰ
tossy1
中度Ⅱ
tossy2
重度Ⅲ
tossy3

交通事故の後遺障害では、このTossyの分類で十分ですが、最近の医学ではRock Woodの分類という6段階に分ける事があります。Rock Woodの分類とは、Tossyの分類の「重度Ⅲ」をさらに4つに分けてⅢ~Ⅵ型に分類したもので、靭帯の完全断裂を前提にし治療の方法を判断するために用いられます。

Rock Woodの分類

Ⅲ型 鎖骨が完全に上にずれる上方脱臼
Ⅳ型 鎖骨が後ろにずれる後方脱臼
Ⅴ型 鎖骨に着く筋肉等も全部はずれる明らかな脱臼
Ⅵ型 鎖骨が下にずれる下方脱臼

Ⅳ型以上は手術が選択されます。

肩鎖関節脱臼の治療方法

交通事故による受傷の程度の軽いものや高齢等の場合は、患部を装具によって固定します。しかし、若年層や程度の重い肩鎖関節脱臼は、時に手術が行われます。しかし、手術を行うか否かは、自覚症状などを総合的に勘案して医師によって判断が異なります。それは鋼線による固定や腱の移行などの手術を行っても”必ず良くなる”というものではないからです。

肩鎖関節脱臼の後遺障害への道

まず、肩鎖関節脱臼の程度をTossyの分類で確認し、その分類を確実に立証できるように準備をします。そして、きちんとリハビリを行い交通事故後半年が経過してから後遺障害の申請を行います。重度Ⅲの肩鎖関節脱臼で手術を行わなかった場合は骨の変形が必ず発生します。この肩鎖関節の脱臼では、14級、12級はもちろんの事、併合での11級や9級などの等級もありますので十分に計画的な症状固定の判断が必要です。

このページでのコメント、FAQ(無料) 無料でご利用いただけます。匿名可

  1. あき より:

    肩鎖関節脱臼の障害認定について質問です。
    2014年4月に交通事故に遭い、それが原因で肩鎖関節脱臼(Ⅲ型)になっております。過失割合は95:5で、相手方に殆どの過失がある状況です。
    現在通院中ですが、先日医師より「脱臼の程度が後方脱臼(Ⅳ型)に悪化している可能性があるので手術の検討をしたほうが良い」と告げられました。 また同医師からは「現在、肩鎖関節脱臼では障害認定を受けることは困難だ」とも言われております。
    急な話でもあり率直なところ、補償も含めてどのように受け止めて方向性を出せば良いのか判らない、という状態です。
    治るのであれば、多少のリスクも覚悟で手術の実施も考えますが、補償についてどのような影響が生じるのか、判断材料が欲しいと思う次第です。お手数ですが、教えて頂きたく存じます。

    • 戦略法務 より:

      増悪してきているのであれば、それを食い止める最善の方法を選択すべきだと思います。それを放置し、悪化したとした場合に加害者側からすれば事故との因果関係も「なぜきちんと治療しなかったのか」と、問いたくなると思います。

      後遺障害の等級は治療の結果、適切でできるだけ高い等級が認定されるように立証等を行うもので、治療をせずに高い等級というのは困難です。

      もっとも、本件において現時点では手術が適切とはいえない状況であると思われますが、放置のリスクが手術のリスクを上回る時、経過に注意して判断をする事になると思います。

  2. さあや より:

    11月14日に私は徒歩で相手がバイクで事故をし、右肩鎖関節脱臼だったのですが、救急で運ばれた病院では、ただの脱臼で扱われ、その後、転院したのですが、その時の紹介状には打撲だけしか書かれていなく、転院先の病院で、鎖関節脱臼と分かり、その転院先の病院でも特に治療はなく、保存療法で、退院後もリハビリはなく、今も痛みがあるので、近くの病院で診てもらったのですが、リハビリとかはなく、ただ手術すればいいので、と言われ、再度違う大きな病院に診てもらいましたが、そこでは人工靭帯を入れる手術方法だとのことで、今みでプレートを入れ、靭帯を作り、またプレートを抜くという手術方法で聞いていたので、その手術方法は一般的ではあるのらしいのですが、不安でこちらにご相談しました。
    事故後、3ヶ月経ち、痛みはまだある状態で、今から手術してもいいのでしょうか。担当医がおらず、リハビリ等もないため、このまま保存療法でいったとしても、後遺症とも申請出来ないのではないかと思い、手術も検討する予定なのですが、手術方法、後遺症との関連を教えて頂ければと思います。

    • 戦略法務 より:

      手術はご自身で判断する事ですが、今までの病院で手術をしなかったのはそれなりの理由(リスク)があるからです。手術を行ったがゆえに後遺障害に該当せず、もしくは等級が下がりリスクが現実となってしまっては、事故の補償を満足に得る事が容易ではなくなります。
      1つ言うならば、肩鎖関節脱臼の手術は仕方なく行うものと言われています。本当にその痛みは肩鎖関節脱臼の痛みか改めて確認をしてみるのも必要かと思います。

  3. 阿部智史 より:

    術後について質問したいのですが、手術は人口靭帯を使用し、28日に退院しました。今は肩内部はワイヤーで固定もされているので、ワイヤーが左肩の側面から4㎝ほど飛び出て曲げてあります。手術してからからずっと三角きんでしか固定されておらず、手術のホチキスを外すのが4月1日で、ワイヤーを抜くのが、4月20日だそうです。あまり術後の説明を詳しく承けられていないので、少し動いてしまってもいいのか、三角きんでいいのか、色々わかりません。良かったら教えていただけると嬉しいです。あと今は手術した肩に痛みはもうそれほどありません。

    • 戦略法務 より:

      肩鎖関節脱臼で手術をした場合の一般的な流れは、(おそらくkirschner銅線による固定だと思われますが)受傷後3か月程度で負荷をかけた肩を動かす訓練をしています。これは「早めに肩を動かした方が良い。完全脱臼であっても」という考えからですから、今回、固定をしないのも肩を動かせるために固定をしていないのです。