後遺障害の逸失利益は以下の計算方法で求められるのが原則です。
基礎収入×労働能力喪失率×労働能力喪失期間対応のライプニッツ係数
基礎収入
逸失利益の算定の基礎収入となるのは、交通事故前の収入を基礎とするのが原則です。しかし、将来において現実収入よりも高額な収入を得られる蓋然性(極めて高い可能性)があればその金額が基礎収入となります。さらに、賃金センサスよりも実収入が低い場合にも、将来的に収入増の蓋然性があれば賃金センサスを基礎収入とします。
労働能力喪失率
後遺障害によって低下した労働能力の割合を労働能力喪失率といいます。この労働喪失率は国が定めた労災保険の別表労働能力喪失率表を使用するのが原則です。ただし、職業、年齢、部位、程度などによって変えられる場合もあります。
労働能力喪失期間
労働能力をどれくらいの期間喪失するかという問題に対応して定められるもので、原則として就労可能年限の67歳までの期間が認定されます。しかし、後遺症によっては一定期間が経過すれば機能が回復するものもあるので、そういった場合には5年や10年といったように喪失期間を限定することがあります。逸失利益を計算する際には、労働喪失期間に対応するライプニッツ係数を使用します。
逸失利益の計算例:
条件
基礎収入 500万円
後遺障害等級 12級
年齢 47歳
後遺障害12級の労働喪失率は14%
47歳の場合、就労可能年限まで20年
基礎収入×労働能力喪失率×労働能力喪失期間対応のライプニッツ係数
=500万円×14%×12.462
=8.723.400円
この場合、後遺障害の逸失利益は8.723.400円となります。