後遺障害診断書とは?

後遺障害の基本

後遺障害診断書(こういしょうがいしんだんしょ)とは、正式名称を「自動車損害賠償責任保険後遺障害診断書」といいます。後遺障害の診断書はA3サイズの一枚の定型用紙となっています。交通事故における後遺障害の申請にはこの後遺障害診断書を利用して症状固定の診断書を作成することになっています。作成できるのは医師のみで整骨院や接骨院では書けません。

後遺障害診断書は誰が書く?医師と診断書

後遺障害診断書は医師が作成を行います。理論的には医師免許を持っている者であれば診療科を問わず医師であれば作成可能です。しかし、後遺障害診断書は、患者の症状経過を最も知っているる主治医が作成するのが好ましいと言えます。

後遺障害診断書は後遺障害の等級を確認するためにも重要な書類で、この診断書が等級を大きく左右しますが、医師の中には「何を書くべきなのか」後遺障害診断書の書き方を知らない先生がおります。書くべきことが判らないというのでしょうか。不要な記載をしたり、必須な記入をしなかったり、自覚症状を全然違うところ(他覚所見の欄に)に書いてしまっていたり、傷病名と診断印だけのほぼ白紙状態の後遺障害診断書だったといったことも何度か見ました。

診断書の作成は医師の独断

後遺障害の診断書の作成の方法は、医師の”自由な意思”によって作成されます。これは診断権を持つ医師の特権です。しかし、医師の国家試験では出題されない”後遺障害診断書の書き方”は被害者から伝える事が望まれます。これは後遺障害の等級が書類審査という書類だけで後遺障害が判断されるという自賠責の制度を考えれば、被害者からの医師に対して、診断書について積極的なお願いを行う事は必須ともいえます。

被害者から医師にお願いをする理由は、医師は医療のスペシャリストですが、「交通事故の後遺障害とは?」「自賠責とは?」医師の作成した後遺障害診断書のどこが重要で、どのような基準で評価されるのか知らないからです。

ただし、医師の診断権を犯すような方法では、医師に対して大変失礼なので、医師の性格や能力、患者の症状や状況などを総合的に考えて、後遺障害診断書の書き方のお願い方法はよく考える必要があります。

等級の決定

等級は自賠責に提出する診断書や診療報酬、画像、検査結果、事故状況等々の全ての書類・資料が審査対象であり、その内容によって等級が決定します。後遺障害診断書や経過診断書(診療報酬明細書)の診断書は、医師のみが作成できるものなので、医師に作成を任せる事になります。その診断書の作成を行う医師が、交通事故(自賠責)の後遺障害という制度に理解が乏しいとなれば、後遺障害の結果は極めて限定的となる可能性があります。

自賠責に対するせっかくの被害者請求となれば、後遺障害の等級に有効的確な書類をそろえたいところです。

後遺障害診断書で被害者がすべきこと

後遺障害診断書は医学の専門家である医師に任せておけば大丈夫」と思うかもしれませんが、病院にいる医師は診察・診断・治療が専門です。よって、症状が残存し固定となった患者のことを診断書に書くことには専門外です。

そのためには、ある程度、被害者としても医師とのコニュニケーションのあり方について戦略を練って、自賠責で求められる後遺障害診断書や経過診断書などを作成していただけるようにしなければなりません。そのためには、後遺障害のシステムを熟知する必要があります。(本HPである程度勉強できます)

経過診断書とは、一般的に初診時から毎月治療費を負担している保険会社等に送付されている診断書で、治療の結果が記載されている書類ですが、この記載内容を確認しないで後遺障害診断書のみでそのの妥当性を判断することは不可能ともいえます。

また、後遺障害診断書に記載される自覚症状については、的確な言い回しが必要になってきます。等級が非該当になければ、5千~1万円の後遺障害診断書料金は被害者負担になるのが原則です。

後遺障害診断書と医療照会

適正な等級を得るためには、この後遺障害診断書のみでは立証不足な場合があります。このような時は、医療照会というQ&A方式の書面を作成して、医師から必要な事項を聞き出してしまう方法をとります。

医療照会という方法を取ることによって、容易に医師から等級の認定に必要な情報を得ることができます。つまり、後遺障害診断の書き方について、医師と難しい交渉を行う必要もなくなります。ただし、期待通りの結果が得られない時もあります。

医療照会書の実例(PDF)

後遺障害診断書のダウンロード

後遺障害診断書は歯科用とそれ以外の2種類あります。

後遺障害診断書ダウンロード(用紙のサイズ:A3)
歯科用後遺障害診断書PDFダウンロード(用紙のサイズ:A3)

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歯科以外の後遺障害診断書(左)
後遺障害診断書
歯科以外の後遺障害診断書(右)

後遺障害診断書右側
歯科用の後遺障害診断書(左)
歯科用後遺障害診断書
自賠責に被害者請求を行う時は、自賠責から請求書類を頂く必要がありますが、この後遺障害診断書は、この自賠責請求書類の中には同封されていませんので、別途自賠責もしくは治療費を負担している保険会社等から取り付ける必要があります。

後遺障害診断書の費用(領収書)

後遺障害診断書の費用の相場は5000~10000円(労災では4000円)です。金額は病院が自由に決めることができるので数万円を請求される場合もあります。

後遺障害診断書を自ら受け取る場合は、診断書と引き換えにその費用を支払う必要があります。このとき必ず領収書を頂いてください。

そして、その領収書で加害者に「立替えたから支払ってください」と請求を行う事になります。ただ、後遺障害診断書の費用は、等級が認められなかった時は、賠償の対象外と保険会社が主張してきた場合はこれに従う事になります。これが実務上正当な取り扱いです。

しかし、等級が取れずとも診断書代を支払ってくれる任意保険会社等もあります。これは、「被害者と揉めるのを避けるためにサービスで支払っている」という解釈になります。一般的には、任意保険会社から後遺障害診断書を作成してくださいと、被害者に指示があった時は支払うケースが多いです。しかし、被害者が勝手に後遺障害診断書を作成した場合は、支払わないケースが多くみられます。いずれにしても等級が認められれば、任意保険会社等は支払う事になります。

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  1. s、4242 より:

    前回より詳しく質問させていただきます。
    調査官意見では、ヘススクリーンテストにより、左側の像が水平方向に12度、垂直方向に3~4度離れた位置にあり、正面視において複視が中心の位置にないことが、主治医意見書により確認できる。とありました。
    私は、正面を見たときに、2重に物が見えるため「正面視以外で複視を残すもの」ということに納得できないため複視が中心の位置にないとはどういうことなのかお聞きしたのです。
    あと、何度離れた位置なら10級ということなのでしょうか? よろしくお願いします。

    • 戦略法務 より:

      10級はまっすぐ見たときにも複視がある場合で、そのずれは5度以上とされています。もちろんテストによってそれが確認されている必要があります。

  2. 戦略法務 より:

    目が13級だったという事は、つまり、 ヘススクリーンテストにより正面視で複視が中心の位置にあることが確認できなかったという事です。正面視以外では複視がある状態だったという事です。

    複視の後遺障害

    賠償金については、弁護士の先生に委任されているようなのでここでの回答は控えます。

  3. わか より:

    はじめまして。ご相談させていただきます。2月の終わりに自転車(私)と車(相手)でぶつかり通院をしています。首の治療と左手親指をひねったので通院していましたが、次回の通院で打ち切りを言われました。まだ痛みがとれず特に左手に関しては物を持つときや動作によっては痛みがあり
    先生もまだ通院が必要とおっしゃっていたのですが、保険会社に「いつまでも払い続けることはできない」と言われ今後どのような対処をしたらよいのか困っています。このサイトで後遺障害の事を知ったのですが次回通院時に先生に書いてもらった方がよろしいでしょうか?保険会社に事前に話をしてから先生に書いてもらった方がいいでしょうか?来週以降も通院は続けるつもりでいます。よろしくご指導のほどお願いします。

    • 戦略法務 より:

      次回の診察で後遺障害診断書を作成するかどうかの判断は詳細が分からないのでできませんが、保険会社に事前に話す必要はありません。ただ、来週以降も通院を続けるという事なので、後遺障害診断書の作成を焦る必要はなく、準備が整ってから後遺障害診断書の作成を行ったほうが間違いなく良いと思います。