ヘルニア その1~所見について

交通事故でヘルニアになったら?

交通事故で頚椎ヘルニア腰椎ヘルニアと診断される場合があります。

この場合の後遺障害の等級は14級または12級が基本となりますが、被害者にとっては12級を望むところが多いです。交通事故のヘルニアで12級が認定される場合には、「症状の固定時に残存する自覚症状と経時的に施行された画像検査および神経学的検査における他覚的な検査所見との間に医学的な整合性が認められるもの」でなければならないと、後遺障害の認定基準は示します。つまり、ヘルニアで12級の認定を得るには、自覚症状画像所見、と神経学的所見の3つが揃っていなければなりません。この3つは症状固定時に揃っているだけでは足りず、整合性が必要です。まず、このページでは3つの条件について説明します。

ただし後述する場合は整合性よりも画像所見と一貫性のみが重要になります。

残存する自覚症状

残存する自症状とは、症状固定時に確認できす症状という事ではありません。「残存」というのは、「交通事故直後から発生していた症状で、症状固定時にも残ったもの」という意味です。交通事故直後から症状固定時までの一貫性が必要です。

画像検査による画像所見

ヘルニアの場合には、MRIが画像所見となります。レントゲンで推測も可能ですが、交通事故のヘルニアとして成立させるには推測ではいけません。MRIによってヘルニアが確認できるのは大前提ですが、ヘルニアによって神経などの圧迫がある程度のヘルニアでなければなりません。

ヘルニアの画像所見で一番問題になるのが、ヘルニアの外傷性についてです。つまり、「交通事故との相当因果関係」と言いますが、交通事故によって発生したヘルニアか、加齢による年齢性のもの等で交通事故前よりあったものかが問題となります。

この因果関係の判断は非常に難しく、総合的にみて交通事故で発生したかどうかを判断する事になります。総合的にみると理由は、レントゲン画像やMRI画像をみると、なんとなく加齢による年齢性変化という事が解ったりもしますが、交通事故による外傷性のものと確実に確定することはできないからです。

神経学的検査による神経学的所見

神経学的所見とは、整形外科で行う検査で説明しているテストによって、画像所見と一致する異常が発生していることを言います。ヘルニアの部位によって、神経学的所見で求められる結果は異なり、画像所見と神経学的所見が一致している必要があります。

そして、この神経学的検査を、交通事故から1年を経過した症状固定時にだけ行って異常所見を取ったとしても、「他覚的証明されたとは困難」として12級は否定されます。つまり、文頭で述べた経時的に神経学的所見で異常所見を取っておく必要があると言えます。

交通事故で後遺障害の等級を得るには、被害者に立証責任があります。すでに過ぎ去った事を立証するのは難しく、ヘルニアと分かった瞬間から治療以外の立証にも力を注ぎ証明する必要があります。

画像所見のみこそが重要な場合

さて、画像所見と一貫性が重要視される場合について述べたいと思います。

ヘルニアで神経、ここでは脊髄が圧迫され、さらにMRIで変化が見られた場合(圧迫された部分が白くなっている場合)は、神経学的所見と自覚症状がそれなりに一貫性を持っていれば、整合性がなくとも等級は認定されます。詳しくは別の記事で述べたいと思います。

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  1. あいこ より:

    一週間前に 停車中の車で後部座席に乗っていたら
    後から追突され翌日近くの整形外科へ行きレントゲンと
    撮りましたが骨に異常がなく 電気治療で数日通院していましたが 痛みが背中まできて 吐き気もあったので
    MRIの検査で頚椎ヘルニアが一箇所見つかりました。
    医師はおそらく持っていたヘルニアが衝撃ででたのでしょうと言ってましたが この場合すべて交通事故の扱いで治療可能でしょうか?今までにヘルニアの症状はまったくなかったのですが これは立証できるんでしょうか?

    • 行政書士 笠原 より:

      このようなヘルニアでは、リハビリにとどまる限り全額保険会社が負担してくれるのがほとんどです。この点はご心配要りません。
      交通事故によって、そのヘルニアが確実に発生した事を立証するのは難しいです。色々な要素を総合的に見て事故を原因として発生したヘルニアと予想される程度の説明しか行えませんが、これえも条件が揃っていれば12級13号が認定されます。

  2. 藤崎 奈都子 より:

    12/4に交通事故にあいました。加害者(相手)は任意保険に入ってません。
    同乗していた二歳の娘も頭部、背中打撲と診断されました。娘は一ヶ月に一度位の定期健診で先日、この先も大丈夫だろうという事で通院を終了しました。
    慰謝料は請求できます?

    MRIなど精密検査を依頼しても、してもらえず、この先ほんとに後遺症が残らないか心配ですが。

    • 行政書士 笠原 仁 より:

      交通事故の慰謝料は大きく分けて通院慰謝料と、後遺障害慰謝料に分かれます。通院をしていれば、通院実績に応じた慰謝料は請求可能です。通院慰謝料は、通院期間と通院実日数で計算されます。

  3. 古木 克己 より:

    頚椎ヘルニアと後遺障害認定について。

    10年前に頚椎ヘルニアの手術をして、その術後1年ほどして左腕の筋肉の衰え、左指のふるえ、痺れ等の後遺症が出て、そのまま年を経過しましたが、この度追突事故により、脱力感や指のふるえが酷くなった気がします。現在事故によるむち打ち症で通院していますが、良くなる気配がありません。
    このまま6ヶ月をすぎて症状固定と医師から言われたら後遺障害認定を受けられますでしょうか?
    やはり6ヶ月を経過しないと申請は出来ないのでしょうか?
    専門の方のご意見宜しくお願い致します。

    • 戦略法務の専門家 より:

      手術の種類はどういったものか。そして、事故前の通院歴によって等級可能性は変わります。
      そして、交通事故後6カ月を経過しなければ、後遺障害の申請が出来ないという事はありません。むちうちでは、5カ月でも4カ月でも後遺障害の申請は可能です。ただ、後遺障害の等級認定の可能性が低くなるかもしれないというだけです。

      • 古木 克己 より:

        お答えを拝見させて頂きました。有難うございます。
        追伸です、手術の方法は「前方固定術」です。
        また、やや後遺症は残りましたが、8年前からは何の症状も出ず、術後の通院は8年間ありません。それが今回の事故により症状が酷くなり、仕事にも支障が出ています。今回の事故で通院している整形外科の医師からは、「3ヶ月くらいで切る」と言われました、なぜか、保険会社が催促してくるからだそうです。そんなことがまかり通るのでしょうか?
        そこにはMRIがありませんし、MRIを撮るのなら紹介すると言われていますので、いっそ病院を替わった方が良いのでしょうか?
        紹介先の病院で手術をしておりますので、もしMRIを撮れば術前、術後、そして今回と比較する事が出来そうですが、かえって逆手に取られそうでなりません。
        因果関係のこともあり、どれが一番良い方法かが、もはや判断できなくなっております。
        助言の方宜しくお願い致します。

        • 行政書士 笠原 仁 より:

          今回の事故で痛めた腰が固定術とどれくらいの因果関係があるのか、それを確認するためにもMRIの撮影が必要と思われます。
          以上になります。